あの日の話

うたうように話す。

私は弱い

私は弱い人間だ。

 

 

少し前まで、弱い自分が嫌いだった。

弱い自分を否定して、人に暗い姿は見せず、いつでも明るく振舞って生きてきた。冗談を言うことが好きで、人と距離を詰めすぎることはたいてい苦手だった。泣く時は誰もいない場所で見られないように泣いた。

 

でも

音楽なのか何がきっかけなのか、正確には言えないけれど

いつからか弱い自分を受け入れた。

これが私なんだから、とふんぞり返るようになった。

そうしたら生きるのが楽になった。

とても楽になった。

 

 

しょうがないのだ。

親を失くすとかそういう経験は、思春期の自分には強烈すぎた。脆く傷つきやすく育ってしょうがないし、理解されなくてしょうがないし、一生そのままでしょうがないのだ。

 

 

そのぶん私は、人一倍敏感で、例えばこうやって言葉を紡ぐことが、誰かの心の琴線に触れたりすることもあるんじゃないかって

私だから感じ取れることが誰かを救えることもあるんじゃないかって

自信はないけれどこんな私だから出来ることを

探して歩き出した。

 

 

 

弱い私が好きだ。