あの日の話

うたうように話す。

この色とりどりの世の中で

この色とりどりの世の中で、 毎日誰かの人生が暗転している。 安全なはずの新幹線で若い命が突如絶たれた。「誰でもいいから殺したかった」なんて理由で。 50代の女性は孫の顔を見ることなく、90代の女性に轢き殺された。 ライブ会場で音楽を楽しんでいたら…

私は弱い

私は弱い人間だ。 少し前まで、弱い自分が嫌いだった。 弱い自分を否定して、人に暗い姿は見せず、いつでも明るく振舞って生きてきた。冗談を言うことが好きで、人と距離を詰めすぎることはたいてい苦手だった。泣く時は誰もいない場所で見られないように泣…

優しさの箱

「おはよう。まだ起きないの? 今雨が降り始めたよ。外出するなら傘忘れないでね。 冷蔵庫の中に昨日の残りあるから、お昼に食べてな。腐っちゃうから。」 新しい録音、1件。 きょう 午前 9時52分。 「おはよ。もう会社行った? いつものドラマ、なんだっけ…

壊れた花瓶と新しい花瓶

壊れた花瓶を必死に直すより、新しい花瓶を手に入れた方が良い。 長年大事にしてきたお気に入りの花瓶が壊れてしまったと、ある女性が泣いている。 また新しいものを買えば良いじゃない。 友人にそう慰められると、かえって女性は怒ってしまった。 この花瓶…

「嫌な気持ち」との付き合い方

生きていれば嫌なこともある。 それは減らすことはできても無くすことはできないものだ。人と関わって生きてくこの世界では。 じゃあ誰とも関わらずに生きればいいと実践してみようとするに、数日でそんなことは不可能だと知る。神様は人間と孤独は共存でき…

暦にたすけられる、という感覚を知った時があった。 1年365日。 ◯月◯日、それはある人にとってはただの数字の羅列で、 ある人にとっては去年と違わぬ平穏に感謝する日で、 ある人にとってはまたひとまわり大きくなった我が子の手を握りしめる日で、 ある人に…

縁がなかった そういう運命だった っていう言葉には時々救われることがある。 偶然と必然の話。 すべて必然なんだと信じこむこと。 あの時あんなこと言わなければ あの時こうしていたら そういう後悔は、残りの人生まで曇らせてしまう。 最初から全部決めら…